DOHCとは略語で、正式には、ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト。直訳すれば、二つの・頭上の・カムシャフト。シリンダーヘッドの上に2本のカムシャフトがあるというエンジン構造そのものを示した言葉で、別名はツインカム。このカムシャフトは、エンジン内部に混合気を送り込んだり、排気ガスを排出するための密閉弁の開き具合や開閉タイミングを司る重要なパーツである。
バイク用エンジンの進化は高出力化にある。同じ排気量のエンジンでも高回転化できれば、よりたくさんの仕事がさせられる。排気量が同じでパワーが一緒でも、1分間に5000回転しか回せないエンジンと1分間に10000回転できるエンジンなら、後者の方が倍の仕事がさせられて高性能だ。バイクのエンジンは、大排気量化や多気筒化、圧縮比アップなど、様々な工夫を盛り込んで高回転化してきた。そんな高回転化のなかで大きな弊害となったのが動弁機構だ。いくら金属加工精度が上がったり多気筒化などの工夫でエンジンがスムーズに回るようになっても、燃料の供給と排気ガスの排出が追いつかなければそれ以上の高回転化は望めない。早く正確にバルブシステムなくして高回転化望めなかったのだ。高回転化の要である動弁機構だが、「DOHC」は現在最先端の動弁機構である。過去にはサイドバルブ(SV)よりオーバーヘッドバルブ(OHV)よりオーバーヘッドカムシャフト(OHC)よりも高回転化が可能なハイスペックな動弁機構が「DOHC」なのだ。